気分はもう短編集#40公開。
題「穴も石もない人生」
http://ncode.syosetu.com/n0902e/
簡単なあらすじ:「最悪だ」人生を悲観する男が博士の研究所を訪ねてきた。博士はある発明品の存在を男に教えるが…。
久しく外出したつい先日のこと。
貧乏人の味方、古本屋にいこうと思った。照りやかな日射しがなんとも疎ましい。
流行りのエコのためと嘯き、自転車(音速丸)に搭乗。しかし、タイヤに空気がほとんど入っていないのに気づき、一度降りて駐輪場に放置されていた錆び切った人様の空気入れを借りて空気をほどよく注射。そして再搭乗。
「ぬおおお」と何者かに追われている心境でひたすら自転車を走らせていると──ばんっ!
後ろタイヤがパンクした。
「ぬおお…」と萎えていく思い。中途半端な距離まできてこの仕打ちはないだろ、と電柱に貼られた怪しげなチラシに訴えかける。むろん、返事は「…」
とぼとぼと歩いて帰宅。萎えてしまったがどうしても古本屋に行きたい。その思いで数キロの道を徒歩でゆくことに決めた。
照りつける太陽に舌打ちを。肺には新鮮な酸素を。頭皮には濁った汗を。
やっとの思いで到着し、ざっと店内を見回して三十冊ほどまとめて購入。冬のコンビニおでん相当のほくほくとした気分で店を辞した。
──ざあああ。
突然の雨。なぜか頭の中でR.O.Dのオープニングテーマが流れる。数分、ぼけーっと立ち尽くす。
雨の中を走る…それもいい。むしろそれしか生きて帰る方法はない。だが、本が、今の私には自分の命より尊い本がある。この子たちを濡らすわけには…いかない。
ベンチで通り過ぎていく車と群衆を眺めながら独白をしている内に雨が弱まっていく。
雲の隙間から陽光がみえた。
「今よ、タカハシ」何者かが柔和な声でささやく。「行きなさい」
「でも、そんな…僕にはできません! だってまだ雨は降っているじゃないですか!」
「大丈夫」
「む、無理です!」
「あなたならできるわ」
僕は古本の入ったビニール袋の取っ手ををぎゅっと握る。「セイラさん…!」
うおおお。
走った(本当はとろとろ歩いた)。
遮二無二、走った(いやまあとろとろ歩いたんだけどね)。
無我夢中で走った(うん、まあ暑いなあオイとかがぶつぶつ言いながら歩いたんだけど)。
家までもうすこしだ、っていうところまで来たとき──ぶちーん!
ビニール袋の取っ手が本の重みに耐えきれずに切れた。
「ありがとうごじゃまーす!」となぜかお礼を言いたくなった。涙目で。
本の重みを考えて袋を二つにわけるとかあるだろうがよお、頭つかえやあの金髪店員よお、と珍しく辛辣に他人を罵りたくなったが相手がいない。まいった、まいった。
もうなんか小さな不幸が立て続けに起きて、一瞬死が頭をよぎったがどうでもいいやハッハッハと哄笑しながら走りました(今回はホントに)。
走りながら僕が泣いていたのは小雨のおかげですれ違う人々には気付かれていなかったと思います。前を横切った黒猫は気付いていたかもしれませんが、畜生のことなどどうでもよいこと。
帰宅して、即不貞寝したのは言うまでもありません。
ではでは、また。
題「穴も石もない人生」
http://ncode.syosetu.com/n0902e/
簡単なあらすじ:「最悪だ」人生を悲観する男が博士の研究所を訪ねてきた。博士はある発明品の存在を男に教えるが…。
久しく外出したつい先日のこと。
貧乏人の味方、古本屋にいこうと思った。照りやかな日射しがなんとも疎ましい。
流行りのエコのためと嘯き、自転車(音速丸)に搭乗。しかし、タイヤに空気がほとんど入っていないのに気づき、一度降りて駐輪場に放置されていた錆び切った人様の空気入れを借りて空気をほどよく注射。そして再搭乗。
「ぬおおお」と何者かに追われている心境でひたすら自転車を走らせていると──ばんっ!
後ろタイヤがパンクした。
「ぬおお…」と萎えていく思い。中途半端な距離まできてこの仕打ちはないだろ、と電柱に貼られた怪しげなチラシに訴えかける。むろん、返事は「…」
とぼとぼと歩いて帰宅。萎えてしまったがどうしても古本屋に行きたい。その思いで数キロの道を徒歩でゆくことに決めた。
照りつける太陽に舌打ちを。肺には新鮮な酸素を。頭皮には濁った汗を。
やっとの思いで到着し、ざっと店内を見回して三十冊ほどまとめて購入。冬のコンビニおでん相当のほくほくとした気分で店を辞した。
──ざあああ。
突然の雨。なぜか頭の中でR.O.Dのオープニングテーマが流れる。数分、ぼけーっと立ち尽くす。
雨の中を走る…それもいい。むしろそれしか生きて帰る方法はない。だが、本が、今の私には自分の命より尊い本がある。この子たちを濡らすわけには…いかない。
ベンチで通り過ぎていく車と群衆を眺めながら独白をしている内に雨が弱まっていく。
雲の隙間から陽光がみえた。
「今よ、タカハシ」何者かが柔和な声でささやく。「行きなさい」
「でも、そんな…僕にはできません! だってまだ雨は降っているじゃないですか!」
「大丈夫」
「む、無理です!」
「あなたならできるわ」
僕は古本の入ったビニール袋の取っ手ををぎゅっと握る。「セイラさん…!」
うおおお。
走った(本当はとろとろ歩いた)。
遮二無二、走った(いやまあとろとろ歩いたんだけどね)。
無我夢中で走った(うん、まあ暑いなあオイとかがぶつぶつ言いながら歩いたんだけど)。
家までもうすこしだ、っていうところまで来たとき──ぶちーん!
ビニール袋の取っ手が本の重みに耐えきれずに切れた。
「ありがとうごじゃまーす!」となぜかお礼を言いたくなった。涙目で。
本の重みを考えて袋を二つにわけるとかあるだろうがよお、頭つかえやあの金髪店員よお、と珍しく辛辣に他人を罵りたくなったが相手がいない。まいった、まいった。
もうなんか小さな不幸が立て続けに起きて、一瞬死が頭をよぎったがどうでもいいやハッハッハと哄笑しながら走りました(今回はホントに)。
走りながら僕が泣いていたのは小雨のおかげですれ違う人々には気付かれていなかったと思います。前を横切った黒猫は気付いていたかもしれませんが、畜生のことなどどうでもよいこと。
帰宅して、即不貞寝したのは言うまでもありません。
ではでは、また。
